最高顧問 故清水英夫先生
故 清水 英夫 (青山学院大学名誉教授・法学博士・弁護士) |
新しい「映像倫」の出発に寄せて
私は、これまで映像管理委員会(現在の映画倫理委員会)の18年、出版倫理協議会に12年、放送倫理・番組向上委員会(BPO)に10年、外部の第三者として参加してきた。本来、自由と自律が生命である表現機関(メディア)が、外部の第三者に、倫理に関する判断やアドバイスを求めることは、決して望ましいことではない。にもかかわらず、メディアに第三者機関や、それに類するものが設置されてきたのは、それなりに理由があったからである。一般に、メディアは社会に大きな影響力を持っているが、日常の活動に追われて、その影響力に伴う責任が、しばしばおろそかになる。そのことが、社会の不信や批判を招くとともに、公権力の介入を呼ぶことになる。新しい「映像倫」は、第三者性を強化してスタートすることになった。それは、前身の「日本ビデオ倫理協会」をめぐる不幸な出来事に端を発している。その痛切な経験を生かしながら、表現の自由を守り、この新しい組織が発展することを、心から願っている。
旧映像倫理機構 最高顧問就任時